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非常事態は『非常』ゆえに不慣れな状況ではありますが、一刻を争う場合や、生死を分かつ場合があります。
火災が発生しても初期消火が奏功すればボヤで済みますし、発見が遅かった場合でも上手く避難できれば生命は守られます。
知識や技術を身に付け、非常事態に直面したときにその戦術を実戦にぶつけられる臨機応変が求められます。
とっさに身体が動くくらいが理想てきですが、非常事態の種類の多さからするとすべてがそうも行きません。旅客機のパイロットは非常事態でもマニュアルを見て確実な対応をしますので、対応の方法は様々です。
座学での教育を受け知識を高めることは重要ですが、経験の無い知識が非常時にどれだけ役立つかはわかりません。
身体を動かす訓練は、身体が覚える学習法ですのでスポーツなどでも積極的に取り入れられています。
多種多様な非常事態に対応するためには図上演習も有用です。状況を仮想しながら対応を検討していくゲームのようなものですが軍隊や自衛隊でも実践されています。
本項では様々な訓練について紹介させて頂きます。
目次
DRILL
├ 災害教育の目的
├ 災害教育の実践
├ 災害教育コンテンツ
├ 独習・自習
├ 教育・座学
├ 実地訓練・実践演習
├ 図上演習
災害教育の目的
身に付ける
災害に関する教育や訓練は、その手段がどうであれ『身に付ける』事が目的です。
例えそれがゲーム感覚で行われるものであったとしても、身に付けば目的は果たしたことになります。
スゴロクやカードゲームでも、手段は選びません。
目標のために
災害は多種多様、起こる事象も様々です。
目標を定めずに教育しようとしても、身の付くものではありあません。
避難訓練は我が身を守るために実施されますが、間接的には救助隊の捜索の手間や危険を避ける狙いもあります。
押付型の教育は実効性に欠く恐れがあります。
災害教育の実践
臨場感と想像力
職場での避難訓練などは形式的で、中にはヘラヘラ、イヤイヤ、ダラダラといった真剣さを感じられない参加者も居ます。
どのような危機が切迫しているのか、参加者が想像できていなければ身が入らないのも仕方ない事かもしれません。
最近のビデオゲームは『没入感』を重視していますが、災害の教育にも没入できるコンテンツがあると良いです。
繰り返す
消防や自衛隊にとって『有事』は滅多に発生しません。一年の大半は訓練です。
同じ訓練を幾度も繰り返す事で、何も考えずに自然と身体が動きます。チームプレーと個人のスキルの両方が求められる現場では、繰り返してきた訓練の成果が発揮されます。
素人として事例に学ぶ
非常時対応が生業の消防などと違い、多くの国民はプロではありません。
プロは想定外を減らす努力が必要ですが、素人は想定される事象への対応力を身に付けることの積み重ねが大事になります。
1年365日、8,760時間の内、災害と向き合うのは数時間、0.1%程度でしょう。貴重な機会、短時間で多くを吸収するには教材となる情報が多い過去の事例に学ぶことが合理的です。
イベント便乗
3月と9月
東日本大震災が発生した3月、関東大震災が発生した9月、この2つの節目には防災イベントが行われることが多いです。
ちょうど半年周期なので見直しをするにはちょうどよく、テレビなどでも頻繁に話題提供される時期なので機運も高まります。
地域での一斉訓練
地域での一斉訓練が計画されることも多くあります。それに便乗するとリアルな体験ができることがあります。
大阪府では880万人訓練と称して行われる府内一斉訓練では参加企業を募集し、府のシステムへの登録などを実体験してもらっています。
下の動画は兵庫県で行われた津波一斉避難の際に、どのスマホでも防災情報が受信できるのか、できないのかを試したものです。移動中の車内ですが、身構えない訓練という意味ではリアルです。
※.動画再生時にはアラームが鳴動します。お聴きになりたくない方々は再生しないでください。
災害教育コンテンツ
独習・自習
管理者側から見れば最も手間が少ない教育法が自習です。資料を配布して、あとは自己学習してもらうことで何百人もの教育も手軽に実施することができます。
ただし、効果は高望みできません。
自習の一種ではありますが、自らの研鑽のために資料を集めて行う独習は、目的意識が高いので教育効果は期待できると思います。
災害のためだけに大学などに入学し直すことも無いでしょうし、専門的な講座も少ないので独習は図書館などで資料を読みあさるか、ネットで情報収集することが第一歩になると思います。
実務者は被災地に赴いて実際の現場を見たり、実体験した方々から聞き出すように努めており、実例から学んでケースバイケースの非常事態に活かしています。
教育・座学
組織において実施する教育として一般的な座学は、非常時対応でも実施されます。
このときの講師やコンテンツが重要ですが、なかなかテーマにマッチさせることが難しいのではないかと思います。
非常時にはローカルで処理しなければならないことが多く、そのローカルには個別の事情やルールが存在します。背景事情を鑑みて講演できる講師は少ないです。
したがって座学では、過去の事例を紹介することが多くなります。東日本大震災ではどうであった、西日本豪雨ではどうであった、といった具合になるので講師は誰でも良いという場合も少なくありません。この場合、出来得るならば被災者を講師にアサインして、報道では知り得ない細かな部分を聞き出すことが有効な教育につながると思います。
実地訓練・実践演習
『消防訓練』や『避難訓練』は幼稚園児でも経験があると思います。実際の場所で、起こり得る場面を想定した訓練には有効性が期待できます。
一方で、現場を使って身体を動かして行われる訓練は頻繁には実施できない難点があります。一般業務と違いOJTができる訳でもないので訓練には限界があります。
軍隊などでは実弾を用いた訓練を実施しますが、それは戦闘を生業としているからできることです。
一般的に言えば企業や教育などの本業がある中で、それが非常事態に直面したときの応急のための訓練になるので、トレーニング機材を用意するのがせいぜいです。
図上演習
想像力さえあれば、無限の可能性を秘めた演習です。
『台風が直撃し地域一体は大洪水、1階部分は浸水して道路には出られません』といった状況をコントロール班から付与されたプレイヤー班は自らが行動しそうなことを考えて口述や記述で参加者と共有します。これが図上演習です。
同じ状況下でも職種や立場で行動が異なって当然ですし、他者の行動を知ることで自らの行動予定を変更することも図上演習では重要なことになります。
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