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ドローンで災害時輸送できる? | 災害の芽を摘む – saigai.me

 これまでの災害を振り返ると、全国から続々と救援隊が被災地に集まって来る様子は報道を通じてでも目にしてきたことだと思います。

 国のプッシュ型救援は発災後まもなく出発、自治体や民間からのプッシュ型救援も2~3日目には出発します。

 しかし、多くの物資類は被災地の拠点、例えば大型体育館や市役所庁舎に届けられ、ラストワンマイルには高い障壁があります。

 また、被災地からの発送・搬送には手段も人員も不足し現実味がないのが現状です。

 今回、非常時の輸送手段としてドローンがどのような位置づけになるのか検討してみました。




目次

発災時初動訓練とドローン
空撮ではなく輸送
  ├農業では実用レベル
  ├人が行きづらい場所
  ├消防用ドローンにも応用期待
都市部でも検証
  ├2022年・楽天
  ├これまでの楽天の実証例
マニュアルでフライト
  ├長距離は自動操縦
  ├ラストワンマイル
  ├操縦ミスを減らす平時フライト
  ├災害時は特別
  ├遠く離れた平常地
  ├現状は『目視外飛行禁止』
投下配送
  ├Airdrop(空中投下)
  ├ドローンは要訓練
  ├避難所は不特定多数
  ├飛行ルール
機体
  ├トイドローン
  ├ハイアマチュア・セミプロ向けドローン
  ├業務用・産業用・商業用ドローン
  ├航空機
何を運びますか?
  ├備蓄できない物
  ├緊急性
  ├日配品
  ├燃料
どこへ運びますか?
  ├想定しない場所
  ├寸断エリア
災害時に使えるのか?
  ├使える
  ├GOA
  ├秩序を守り、社会に認めてもらう
  ├法規制と特例措置
  ├撃ち落されない確証
  ├電気と電波が必要
  ├避難場所へ
  ├アルファ化米おにぎり
  ├仮設診療所と病院間
  ├災害拠点病院の混雑緩和策
国土交通省関連資料
  ├無人航空機の飛行ルール
  ├関連リンク
  ├国土交通省ウェブサイト内リンク




発災時初動訓練とドローン

 災害時に被災状況を確認したり、路上の被災者を避難誘導するなどの用途としてドローンを使う研究や実証は数多く行われています。

 TV番組でもドローン空撮は多用されていますので、カメラを装着して飛ばすという事に関してはさほど難しくはないと思われます。

 筆者も1万円台のオモチャのドローンで空撮を試みたことがありますが、15mくらいの高さであれば風の影響を受けてもさほど流される事なく同じ位置に留まれますので、被災状況の撮影くらいはできそうです。

取手市(2022年1月)
新宿(2017年2月)




空撮ではなく輸送

 カメラやスピーカーなど平時から装着可能な既定の重さの装備でドローンが活用できるのは想像しやすいと思います。

 今回は輸送という点にフォーカスしていますので、その実用レベル感を調査してみました。


農業では実用レベル

 担い手不足が深刻化する農業では、ドローンの活用が世界中で模索されています。

 日々の生育状況の観察、農薬や肥料の散布などドローンによる省人化が進められています。

 農薬や肥料の中には、人体に有益ではないものも含まれている可能性がありますが、散布時の吸入リスクは激減できます。


人が行きづらい場所

 山間部や崖地など人が出入りしづらい場所でも林業や農業は行われています。

 林業では、作業場から拠点までの間で資器材や廃棄物などを運搬する用途で使われています。

 棚田のような農機を持ち込めない農地であっても、作業の一部はドローンが代替できますし、ドローンで運搬できる農機があれば運搬に係る腕力のような物は不要になります。


消防用ドローンにも応用期待

 既に消防署でもドローンが採用されていますが、多くが撮影用です。高感度カメラやサーモグラフィを搭載したモデルが採用されています。

 少量でも運搬が可能になれば、要救助者へ通信機器や飲料水を運んだり、山岳救助の場へ医薬品や医療機器を運ぶ事もできるようになると考えられます。

消防用ドローン活動紹介映像(豊田市消防本部)
消防用ドローン(京都市消防局)

【参考】札幌市消防局:消防用ドローン~Eagle Eye~




都市部でも検証

2022年・楽天

 ドローン自体の墜落や、輸送物資の落下のリスクが少ない山間部などでは繰り返し検証が行われていますが、人口密集地で行われる検証は数に限りがあります。

 そうした中で、楽天は今年、都市部のタワマンを使い実証を行いました。

 想定は災害時ですが、実証は平時の倉庫からタワーマンションにお住いの方へお届けするものでした。

【参考】楽天:JP楽天ロジスティクス、都市部の超高層マンションに向けたドローンによるオンデマンド配送に国内で初めて成功(2022年1月11日)


これまでの楽天の実証例

 楽天がタワマンに届けたのは『国内初』という事でしたが、これまでにいくつかの実証を重ねてきていました。

 小売りのプラットフォームである楽天市場の利便性向上や配達迅速化、合理化などを視野に入れたものが散見されます。

 今後の社会を見据えると、過疎地での『買物難民』は不可避であり、移動スーパーにも限界があると考えられます。

 計画的な買い物や買い溜めができる食品類とは別に、ドラッグストアやホームセンターでは急に必要になるアイテムがあります。すべての物流がドローンに置き換わる必要はありませんが、ドローンが有用なシーンで常用されるようになれば、非常時にも活用できる機体数が増えると考えられます。




マニュアルでフライト

長距離は自動操縦

 GPSなど既存インフラの活用で、ある程度の航路は自動操縦が可能となっています。

 ドローン同士の衝突回避や、飛行中のドローン自体への海賊行為など解決すべき課題は残っていると思いますが、ある程度のことを許容すれば自動航行できます。

 機体自体は目視確認できなくなっても、機体は目的とする座標まで最適なルートで航行できます。


ラストワンマイル

 タワーマンションの屋上のように隣接する建物の影響が少なく、着地点が広く平らな場所という条件が揃えば、荷物の運搬先まで完全な自動操縦が可能かもしれません。

 しかしながら、屋上への出入りを許可している建物はさほど多くありません。

 戸建住宅が多い地域では屋上が無く、一般家庭の敷地やコインパーキングなどを着地点としなければなりません。

 このラストワンマイル、もっと狭く言えば着陸までの垂直数十メートルにはマニュアルでのオペレーションが必要な可能性があります。


操縦ミスを減らす平時フライト

 家屋が立ち並ぶエリアで、操縦を誤ると下図のようなことになります。
 これは筆者が自宅の駐車場に着陸させようとして失敗、屋根に落ちた事例です。不慣れな者が操縦するとこういう事になります。

 大災害時、ヘリコプターの操縦で電力会社やガス会社の腕が良かったという話を聞いたことがあります。
 平時から毎日、被災エリアを何百回も航行しており、都市部から山間部まであらゆるエリアを毎日飛ばしている事が影響していたという事です。

 楽天市場の事例のように、平時の配送業務で頻繁にフライトする熟練パイロットが増えれば、災害時でも安全かつ確実に飛ばせることが期待されます。

屋根に落ちたドローン(中央の赤い機体がドローン)

災害時は特別

 災害時は建物や電柱の倒壊で現場の雰囲気は一変していると思います。

 目的地とする場所に建物が無いかもしれませんし、例えば傷の手当てをするガーゼなどを戸建住宅のベランダに届けるような仕事があるかもしれません。

 平常ではない場所に、平時にはしない方法で配達する事になるので、熟練の技と、機転を利かした手段が求められます。


遠く離れた平常地

 東日本が被災したときでも、西日本は平常どおりの社会生活が送られています。

 ドローンは遠隔操作できますので、オペレーターは数百キロ先に居ても飛ばす事ができます。

 ドローンに荷物を積んでスタンバイさせるのは被災地に近い物流拠点であったとしても、その操縦は遠隔地であれば、24時間フル稼働でドローンを飛ばしてもオペレーターの人員確保には苦労しないと考えられます。


現状は『目視外飛行禁止』

 国土交通省の資料によれば『人又は家屋が密集している地域の上空では目視外飛行は行わない』と書かれています。
 同資料では『夜間の目視外飛行は行わない』とも書かれています。

 目視外飛行を実施する際には以下の点に留意が必要です。

  • 飛行の前には、飛行ルート下に第三者がいないことを確認し、双眼鏡等を有する補助者のもと、目視外飛行を実施する
  • 操縦者は、目視外飛行の訓練を修了した者に限る。
  • 補助者についても、飛行させている無人航空機の特性を十分理解させておくこと。




投下配送

Airdrop(空中投下)

 "Airdrop"とは、軍隊などが上空の機体がアクセスできないようなポイントに物資や人員を空中投下することです。

 戦地に食料品や医薬品、武器や車両まで投下できます。

 軍事で実用されているため、そのための訓練が重ねられており、使用する器材もAirdropに適した進化を遂げています。

Paratroopers Static Line Jump From C-17
Heavy Aerial Delivery! USAF Planes Airdrop Humvees

ドローンは要訓練

 ヘリコプターからのAirdropは日本の災害現場でも実用できると思いますが、ドローンとなると話は別です。

 物理的な事で言えば可能だと思います。荷物をどのようにして機体と切り離すかは要検討課題だと思います。

 投下するタイミングなどはカメラやセンサーを駆使して最適解が見つかるようになるのだと思いますが、無人機ゆえに苦労は多いような気がします。

 訓練を積み重ねることで、平時の陸地に投下することができるようになったあとで、被災地でも投下できるように、更なる過酷条件下の訓練が必要になると考えられます。


避難所は不特定多数

 避難所には不特定多数の市民が居るため、地上側の統制が必要になります。

 大型のヘリコプターが校庭などに着陸する際には、地上との連携により安全を確保しますが、素人目にみても大型のヘリコプターには近づくべきでない事がわかります。

 一方でドローンは機体が小さく、音も小さいため、恐怖を与える事がありません。
 ゆえに、機体の真下に人が入ってしまう事も考えられます。
 そのような状況で物資を投下すれば、けが人を出す事になるので、安全確保には課題があります。

 おそらくドローンで物資を運ぶ先としては避難所となっている小中学校が適していると思いますので、避難所の中のマネジメントがドローン輸送のカギの1つになりそうです。


飛行ルール

 航空法を所掌する国土交通省ではドローンの飛行ルールも定めています。

 その中には『物件投下』というワードも出てきます。

【参考】国土交通省:無人航空機飛行マニュアル02(DID・夜間・目視外・30m・危険物・物件投下)




機体

トイドローン

 機体重量200g未満の、許可不要で飛行できるドローンです。
 200g以上になると『無人航空機』になります。200g未満であれば『模型航空機』に分類されます。

 バッテリ容量も限られていますし、モーター出力も大きくないので輸送には不向きですが、撮影などには使えます。

玩具として遊べる免許や許可不要のドローンです。条件にもよりますが高度20~30mくらいまで上げられる機種もありますし、ホバリングなど姿勢保持機能もしっかりした機種がたくさんあります。

ハイアマチュア・セミプロ向けドローン

 5万円~30万円程度で様々な機種が売られています。

 数百メートル先まで飛ばすことができ、しっかりした4Kカメラを搭載したり大型バッテリを搭載したりできる機種があります。

 荷物の運搬にはさほど向いていませんが、一眼レフカメラが持ち上がるタイプだれば、キロ単位の荷物を運搬する事も可能な機種があります。


業務用・産業用・商業用ドローン

 ゼネコンや電力会社など点検で採用されている機種はブレが少なく鮮明な映像を静止姿勢で撮影することができます。

 物資運搬用ドローンはその名の通り荷物を運ぶことができます。10kg超の重量物も運搬することができるようになっています。

 大型機種にはできる仕事の範囲が広い反面、操縦経験者が少ないため汎用性には欠ける面があります。

 50万円を超える調達費用、大型機を飛ばす事ができる場所の確保、許可を得るためのプロセスなどを考えると平時にビジネスとして使えるような組織でしか買わないと思いますので、非常用に機体をたくさん用意してもオペレーター不足で飛ばせない可能性があります。


航空機

 これまで想定してきたドローンは『マルチコプター』(multicopter)とも呼ばれるような羽根が何個も地面に水平に取り付けられているものをイメージして記述してきました。

 もし、従来であれば有人飛行していた機体を無人機に改造した場合は『無人航空機』と呼べるかというと、日本の航空法では『航空機』に該当する可能性があります。

 詳細は国土交通省に問い合わせる必要がありますが、もし航空機となれば操縦免許や機体整備の考え方が全く異なります。




何を運びますか?

備蓄できない物

 水や食糧はある程度の備蓄が可能です。

 新聞紙は備蓄できても、当日の新聞は備蓄できません。

 配送計画や避難経路など発災後に策定された戦略・戦術を記した文書等も備蓄はできません。

 2020年2月にCOVID-19クラスターが発生し隔離状態となったダイヤモンド・プリンセス号では乗客全員に個別のLINEがインストールされたiPhoneが渡されたそうですが、連絡用の充電済スマートフォンも備蓄しづらいアイテムだと考えられます。


緊急性

 止血用具など備蓄は可能であっても、適時適切な場所に届いていない物品はドローン輸送の対象になります。

 避難所で急に産気づいて分娩が始まる事も珍しくはありません。

 喘息発作やてんかん発作など、災害とは直接関係ない傷病者の治療薬などは備蓄も無ければプッシュ型救援物資にも載せられない事が多いです。

 東日本大震災の津波被災地では、持病の薬を持参できなかった被災者が非常に多く居り、薬が無いために治療できなかったという事が多くありました。


日配品

 以前の避難所と言えば数百人単位で1か所に集まる事が当たり前でしたが、COVID-19流行拡大以降は密回避で収容人数の制限や分散化が考えられるようになりました。

 たくさんの場所に少量ずつの配送が必要になると、交通事情が悪くなっている被災地では、自動車での配送には不安定さが増しますので、ドローン配送が期待されます。

 重量としてはオニギリよりパンに優位性がありそうなので、平時の配送も含めて製パン業者がドローンを開発してくれるのではないかと期待しています。


燃料

 大雪でスタックした車の後に大渋滞が発生し、数キロにわたって立ち往生というニュースが毎年のように流れています。

 立ち往生した車が燃料切れを起こすと、凍死する恐れすらありますので、燃料補給が必要になります。

 発電機に依存している被災地があれば、そこでも燃料が重要になります。

 危険物輸送には、大きな危険を伴うため、何を優先すべきか、何が重要であるかを考える必要があるため、必ずしもドローンで燃料を運ぶ必要はないと思います。




どこへ運びますか?

想定しない場所

 『まさかそこに運ぶとは考えない』という所でも運べる事が理想的です。

 例えば鉄道の線路上で立ち往生した電車に食糧や毛布を運ぶという事はあり得るかと思います。

 川の中州に取り残されたキャンパーにライフジャケットを届ける事もあり得るかと思います。


寸断エリア

 地震や豪雨などではしばしば道路の寸断が起きています。

 他地域とのアクセスができない以外は被災していないケースもあり、食糧等を届けることができれば生死に関わるような事は怒らないかもしれません。

 ただし、100人の集落でも1日3食であれば300食/dayの輸送が必要です。1個100グラムのオニギリを1人2個ずつとして1食あたり200個×100gで20kgです。

 現在では救援物資としての配送が考えられますが、日常的にドローン配送が定着してしまえば、道路が寸断したからといってもスーパーは休業せず、いつもどおりドローンで仕入れて平常営業しているかもしれません。




災害時に使えるのか?

使える

 災害時にドローンを使えるか否かで言えば『使える』と回答する事はできます。

 前述のとおり何に使うのか、どこからどこへ飛ばすのかなど利用シーンによってはYes-Noの答えが分かれると思います。

 後述しますが、社会が認めるか否か、法律が許すかどうかなど平時に解決しておくべき課題も山積しています。


GOA

 私たちは"GOA"(goal-oriented action)というものを推進しています。

 GOAとは目標志向活動という意味で、非常時には、多少の問題は無視してでも目標に向かって活動することで、難題を乗り越えるという考え方です。

 例えば、津波が迫っているのに信号が変わるのを待ってから横断歩道を渡るという事はしないと思います。平時では許されないことですが、非常時なので手段は選んでいられません。

 非常時のドローンの運用についてもGOA的な考え方は必要になると思います。GOAが実践されるためには秩序と良心が必要です。


秩序を守り、社会に認めてもらう

 無秩序にならないように法律があるので、非常時だからといって違法行為が許容されるという訳ではありません。あとで罰せられる可能性はあります。

 とはいえ、非常時に一軒一軒から飛行許可を取ってドローンを飛ばすという事も難しいので、多少の事は容認されてしかるべきかもしれません。

 社会が容認するには、平時からの議論が不可欠です。

 社会が容認したならば、あとはドローンを飛ばす人々のモラルにかかってきます。先ほど『秩序と良心』と書きましたが、操縦者や管理者に良心が無ければドローンでの被災地撮影や物資輸送は実現しづらいと考えます。


法規制と特例措置

 航空法などで厳しく規制されているため、無人航空機であってもむやみに飛ばすことはできません。

 目視や夜間飛行など操縦に関する問題以外にも、国会議事堂や空港など指定施設の近くでは規制があります。

 ただし『国若しくは地方公共団体又はこれらの者の依頼を受けた者が航空機の事故その他の事故に際し捜索、救助の目的のため無人航空機を飛行させる場合』には航空法の一部の規定を逸脱することができます。

 この特例適用者は行政もしくは行政の依頼を受けた者なので、民間企業や病院などが勝手に飛ばす事はできません。

【参考】国土交通省:航空法第 132 条の3の適用を受け無人航空機を飛行させる場合の運用ガイドライン, 航空局 次世代航空モビリティ企画室長
【参考】国土交通省:ドローンを用いた被災状況動画撮影のポイント集 ~平成28年台風10号等の経験を基に~
【参考】総務省消防庁:消防防災分野における無人航空機の活用に関する資料について, 消防・救急課長, 消防消第13号, 平成30年1月30日
【参考】航空法


撃ち落されない確証

 法律の問題とは別に、社会を不安にさせない仕組みも必要です。

 今はドローンを簡単に撃ち落とすツールがありませんが、普及後には交番に常備される捕獲ツールが誕生しているかもしれません。

 非常時に、被災者や被災地のためを思って飛ばしたドローンが不審に思われて撃ち落されるようでは、救援側と被災側の双方にとってメリットがありません。

 法規制の特例で飛ばすとしても、それを社会に周知しなければ実運用には至りません。

【参考】内閣官房・国土交通省:ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン Ver.2.0(2021年6月)


電気と電波が必要

 ドローンにはエネルギー源となる電力と、操縦のための通信手段が必要です。

 充電済のバッテリで何往復かはできても、何十往復となると途中で充電が必要になってきます。

 一般の通信回線は輻輳状態、直接通信するための周波数を確保していても非常時ゆえに妨害となる電波が飛び交う可能性があります。

 平時以上に過密にドローンが飛ぶことも混信の原因になりますので、電波の取り合いに失敗して墜落することがないように、やはりルールづくりは必要だと考えられます。

【参考】総務省:ドローン等に用いられる無線設備について


避難場所へ

 現在の運用方法では指定避難所となり得る小中学校に食糧や毛布が備蓄されています。

 しかしながら、発災当初は避難所以外に避難する人も少なくありません。特に津波や大火では公園などに指定された『避難場所』に退避する市民も多く、そこには備蓄倉庫などが無いことも多いです。

 市役所が管理する備蓄倉庫から、市民が避難している場所へ随時物資を運搬するということにドローンが使われる可能性があると考えます。

 自動車での運搬では、片道は空荷になり、渋滞も発生するので時間ばかり過ぎてしまって1日に何往復もできません。

 ドローンを使えば、市役所職員は備蓄倉庫に居ながらにしてすべての作業が完結します。目視飛行が必要であれば、目視できる場所にドローン操縦場所を確保することで、市内各所へ配送ができると考えます。


アルファ化米おにぎり

 先日、筆者が主催したワークショップでアルファ化米のオニギリを用意しました。尾西食品さんという会社の物をAmazonで注文して用意しましたが、非常に軽かったです。

 オニギリ100個分でも5kgくらいです。
 食べるには水が必要なので、その点については課題も残りますがドローンで運ぶには適した食品だと思います。

 パックごはんだと1食分が200g程、100食分だと20kgになりますので、1度に運ぼうと思うと機体の大きなドローンが必要になります。

 余談ですが、筆者宅の備蓄食は尾西食品の携帯おにぎりと、サトウのごはん、Amazonブランドのレトルトカレーです。


仮設診療所と病院間

 震災等では外傷患者が多数発生します。脱線事故や爆発事故などでも同様です。

 現地には仮設診療所が設けられますが、できる検査や治療には限りがあります。

 血液検査装置が現地に無いので採血は行われず、診断もつかないまま様子観察となるか、災害拠点病院へ搬送となります。
 搬送が必要な患者が搬送されないままでは生命に危険が及びますし、搬送の必要が無い人をたくさん運んでしまえば救急車や災害拠点病院のリソースを消費してしまう事になり、本来は助かるはずの患者を救えなくなる可能性があります。

 10gほどの血液検体1本が運べないために社会が混乱するのであれば、それをドローンで運搬して、検査結果を返せるようになることのメリットは大きいと思います。

 筆者が勤めていた病院でもICUが5階、検査室は1階にあり院内でスタッフが走っても数分かかっていました。
 仮にドローンで片道10分かかって検査できる場所へ検体が運ばれたとしても、その時間は十分に許容されると思います。
 被災エリアが広範で、検体を運ぶ距離が長くなったとしても、それだけの距離を患者が移動するよりは安全ですので、やはりメリットは感じられると思います。

 往路は検体運搬に使われますが、復路もドローンが使えます。
 ガーゼや消毒液など応急処置に使われる診療材料くらいは運べると思います。


災害拠点病院の混雑緩和策

 災害拠点病院は災害時でも診療を続けられるようにデザインされていますので、ハードもソフトも揃っています。

 とはいえ、限界はありますので、トリアージという鑑別が必要になります。

 災害拠点病院の近くにあるショッピングモールや家電量販店などをお借りする事ができれば、そこに仮設診療所を設け、生命危機が近くない患者はそちらへ行ってもらうこともできると思います。

 医療施設ではないのでハード面では課題がありますが、それをドローンで補い得るのであれば、100m程の距離でもドローンが何往復もすれば良いと思います。

 混乱の中、医療従事者だとわかる人が仮設診療所と病院の間を何往復もしていたら、途中で市民から声を掛けられることも多くなると思います。
 それが悪い事ではないのですが、手が止まりますので診療の質に少なからず影響していきます。

 拠点となる病院の機能を維持するために、ドローン輸送が担い得る仕事があると考えます。




国土交通省関連資料

無人航空機の飛行ルール






おわりに

 今回は災害時のドローンの活用について取り上げました。

 法規制もまだこれからという段階ですので、良い活用法を思いついても現実として法が許すかどうかわかりませんし、機体や操縦技術が追い付いているかもわかりません。

 災害時には救助の手を差しのべるのも難しい場所がありますが、ドローンであれば行けるかもしれないという場所もあるかと思います。

 また、自衛隊や消防のヘリを待つことなく細かな救援活動が開始できる可能性があることもドローンへの期待が高まるところです。

 建設工事用の重機はオペレーターが全国にたくさん居り、さらに腕利きの熟練工もたくさん居ます。期待と操縦技術の相乗効果で災害時対応が好転することもありそうですので、一人でも多くの人がドローンに関心を持ち、平時から操縦技術を磨いて下さると良いなと思っています。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。