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太陽フレアに備える | 災害の芽を摘む – saigai.me

目に見えない脅威

 太陽フレアとは、簡単に言えば太陽で起こる爆発による影響のことです。ここでは、細かな原理は割愛します。

 地球にとって不都合なことは、電磁波が到来することです。

 光も音も電波も電磁波ですので、普段は太陽光という波長の電磁波の恩恵を受けています。
 ところが、これが放射線に置き換わってしまえば身の危険を感じるのではないでしょうか。
 テレビ放送と同じ周波数の電波が送られて来れば、おそらくテレビは映らなくなるでしょう。

 電子レンジは2.4GHzあたりの電磁波を使っています。Wi-Fiと干渉することが知られていますが、電波が混在することで通信がダメージを受けることは自明です。
 もう1つ恐ろしいのが、電子レンジのようにモノを加熱するような電磁波が届くと、いったい何が起こるのか心配になります。




太陽フレアに備える

 太陽フレアは地球規模というか、宇宙全体で影響を受けることなので止めようがありません。甘受です。

 太陽フレアは1つの事象です。それ自体が問題ではありません。2012年には地球と反対側で大きな太陽フレアが発生しました。地球に影響がないためあまり話題にはなりませんでした。

 一方で2025年頃に予想されている太陽フレアは地球にも影響を及ぼす可能性があります。電磁波が届いて機器が故障したり健康を脅かすようになれば脅威です。

 脅威には対策が必要です。
 設備の損傷を復元するのはお金で何とかなるかもしれませんが生活ができなくなることは避けなければなりません。

 十分な備えが必要です。




停電に備える

 太陽フレアで恐れられている事象に停電があります。

 押し並べて誰もが影響を受ける停電は、その範囲が広範となれば社会が大混乱する可能性があります。

電気設備損傷

 停電が発生する理由はいくつかありますが、最も恐ろしいのが変圧器などの電気設備が直接ダメージを受ける停電です。
 なぜ恐ろしいかと言うと、回復に時間がかかってしまう点が挙げられます。変圧器は電柱の上にもたくさん載っていますし、変電所などあらゆる所にあります。
 国内に何台の在庫があるのかわかりませんが、毎日何千台も売れるような物ではないので損傷後に在庫品で代替、不足分は生産を待つことになるが復電しなければ工場が再開しないので供給が満たされるまで何週間かかるかわかりません。

変圧器火災

 もう1つ恐れる点として、変圧器からの発火です。
 元々、変圧器は熱を帯びるものなので、そこに無用な大電流が入ってくると瞬間的に高温になる可能性があります。変圧器が燃えても延焼しなければダメージは少ないですが、どうなるかわかりません。

副次的断水

 浄水場は電気を使うので、停電が長引けば断水が発生すると考えられます。

 高台に揚水済の水は落差で配水されるのでしばらくは水が出ると思いますが、取水制限をしなければどんどんと減っていきます。

 下水も処理に水を使うので、どこかで閉栓されれば汚物が溜まることになりますし、垂れ流しとなれば川が汚染される可能性があります。
 公衆衛生的なことを考えると、各家庭から出される下水は流しつづけて、河川や海を汚すことで無用な感染症を発生させないという選択になるのかなと思います。
 それを知った上で、なるべく河川を汚さないように、排泄する側も自然に還らないような物は流さないように注意が必要です。

不可避

 防止方法は、ありません。
 発電所から送電網を通ってくる電気をどうこうということは電力会社だけのちからでもどうにもなりません。

 停電してしまった住宅や企業が自前の発電機や蓄電池で対応することはできますが、その設備もダメージを受ける可能性があることを考え、半月くらいは電気なしの生活ができるようにしておく必要があるかもしれません。

 炭や薪は炊事に欠かせないかもしれません。
 冷蔵庫は何日も使えないので腐敗する前に中身を処分することになります。ごみ収集車もゴミ処理場もお休みであれば、ゴミの処分方法も考えなければなりません。
 夏であれば水風呂も我慢できますが、冬は清拭になるかもしれません。
 洗濯や掃除などあらゆる面で困る事になると思います。




電子機器破壊に備える

 映画『マトリックス』(MATRIX)でモーフィアスたちが乗るネブカドネザル号がイカのような敵に襲われたときに、破壊するために使ったEMP(electromagnetic pulse)は電磁波発生装置です。

 強い電磁波を浴びると電子機器は破壊されます。

 強力な磁石を当てただけでもデータが消えたりしますが、EMPのような手法はもっと深層部分にダメージを与えることもあります。

 防御方法は様々ありますが、例えばアルミホイルで巻いて電磁波が通りにくいようにする、鉄板で囲まれた物置に片づけるなどの方法も有効かもしれません。

 特に屋外にあるインターホン玄関子機、照明器具、防犯カメラなどは金属筐体に囲まれてはいないので注意が必要です。
 給湯器などは全体を金属で覆われていますが、配管などから影響を受けるかもしれないので、ブレーカーを切っておいた方が無難かなと思います。

 自動車は影響を受けるのかどうか、わかりません。

【参考】Matrix(Amazon)




通信途絶に備える

生活(通信)

 太陽フレアの影響が地球に及ぶとすれば、一番弱いのは電波を使う通信だと思います。
 次いで、ケーブルを使う通信も弱いと思います。

 テレビやラジオなどは使えないものと思っておいた方が良いと思います。アナログの時代であれば多少は乱れた映像や音声であっても届いたかもしれませんが、デジタル時代は0か1かが明確でなければならないので届きづらいかもしれません。

 携帯電話は壊滅的かもしれません。電話機から基地局までの電波を飛ばすことができなくなれば完全にダウンです。

 固定電話(加入電話)は電波を使っていませんが、中継器など電子機器が多く、ケーブルもさほどシールドが厚い訳ではないので影響が無いとは考えづらいです。
 宅内がコードレスの場合、そこに使われている電波が影響を受ければ電話機が使えません。

業務(通信)

 業務で無線を使う場合には、その無線も影響を受けると考えられます。周波数帯が色々とありますのですべてが途絶ということではありませんが、広範に影響を受けると考えられます。

 短距離通信で言えばSUICAなど交通系ICカードも無線通信です。駅の自動改札が全滅となれば社会は混乱します。
 交通機関では運行や保守など様々な場面で無線通信を使っていますので運休になる可能性は高いです。

 病院で使われるテレメータやナースコール、PHSなども無線ですので危険があります。

 非常に多方面にわたり影響を受けますが、業務を継続しなければならない医療機関等では業務を縮小、休業が可能な企業等では早々に休業してしまった方が無難だと考えます。




火災に備える

 電子レンジに入れた食器と食品は温まって出てきます。

 油の多い肉などを加熱しすぎると火が出るのではないかというほど熱くなります。

 誤ってアルミホイルなど金属を入れてしまうと火花が散ります。

 このように電磁波は炎のように直接的な方法ではなくてもモノを加熱したり、火花を散らしたりできます。

 何が問題になるかわかりませんが、例えばスマートフォンやモバイルバッテリに内蔵されている電池を加熱する電磁波があったとすれば、それによって何億台ものスマホやバッテリから発火することになります。

 何が影響を受けるかわからないということを前提に、未知なるものに備える必要があります。




NHKでも特集

 少し前になりますが、NHKでも太陽フレアを取り上げたことがありました。

 太陽フレアの原理よりも、それがどのような影響を与えるのかが気になるところです。

 私たちBCP/BCMコンサルタントとしては『脅威』や『危害因子』であるのか知りたいところです。

  1. 停電
  2. 通信障害
  3. 人工衛星

 NHKの番組内では上記3点を重大な被害として取り上げていました。

【参照】NHK: 明日をまもるナビ, 太陽フレアで大規模通信障害!?現代に与える深刻な影響とは(2022年10月6日)




NICTが宇宙天気予報

 NICTは国立研究開発機構情報通信研究機構の略称です。

 その国家機関が『宇宙天気予報』を流しています。

 太陽の活動が活発になると地磁気に影響があり、それが電気通信に影響する恐れがあるから、というのが簡単な説明になると思います。

 詳細はNICTのウェブサイトをご覧ください。

【参照】NICT: 宇宙天気予報




大河内一楼「ゆりかごの星」
朗読(by市ノ瀬加那)

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』
オープニングテーマ
YOASOBI「祝福」原作小説

 冒頭で『太陽フレア発生による警報で、基地全体が緊急事態モードに移行した』と語っています。

 今回の話題とは直結しませんが、遠からず近からずという感じのお話です。

 12分45秒~50秒あたりで『太陽を避けながら僕らは現地に向かう。』という文章が出てきます。そののち13分30秒~40秒あたりで『途端に太陽からの熱と高エネルギー粒子が機体を襲う。』という文章も出てきます。

 30分ほどの朗読ですが、耳に心地よい声で朗読してくれますので、お時間があればご視聴ください。

大河内一楼「ゆりかごの星」朗読(by市ノ瀬加那) – 『機動戦士ガンダム 水星の魔女』オープニングテーマ YOASOBI「祝福」原作小説

「ゆりかごの星」 著:大河内一楼




おわりに

 太陽フレア自体は不可避ですが、それによって起こる危害は予測困難な面もありますが、最大限の備えをしておくことで個々の生命は守られる可能性を高めます。

 一般的な自然災害であれば行政の支援があり、避難所が開設されますが、太陽フレアの影響が甚大であれば行政の機能もマヒし、行政の職員も自らの生命を守る行動に出ざるを得ないかもしれません。

 飛行機や船はしばらく停止、ヘリも飛ばせない。地上を行く電車や自動車も数日から数週は運行困難となれば、物資の往来も停滞するでしょう。

 『自助』が生命を救う、そう考えて食料の備蓄や混乱中の過ごし方を考えましょう。