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消防訓練と防災訓練は別? | 災害の芽を摘む – saigai.me

消防と防災

 言葉として『消防』と『防災』を分けて考えなさいと言われれば違いを述べられると思いますが、何となく参加している訓練が消防訓練なのか防災訓練なのか、また別の呼称を持つ訓練なのかをハッキリ覚えている人は少ないかもしれません。




消防訓練は消防計画の履行

 消防法に基づき『消防計画』を策定した場合、その中には消火や避難の訓練実施を定める事になっています。

 消防計画に基づく訓練であるため『消防訓練』と呼ぶことが多く、その内容は消防計画に沿うため初期消火や建物からの退避、消防への通報などが中心となります。

 法令通りであれば消火訓練と避難訓練は年2回以上、通報訓練は消防計画に定めた回数となります。

消防法
消防法施行令
消防法施行規則




消防計画と防火管理者

 消防法では、多人数を収容する防火対象物の管理について、自主防火管理体制の中核となる防火管理者の選任を義務付けています。
 また、同法では消防計画の作成など防火管理に必要な業務を行わせることを義務付けています。

 防火管理者とは、防火管理に必要な業務を適切に遂行できる自主防火のマネジャーです。
 防火管理に関する知識及び技能の専門家としての資格を有してなければマネジャーになれません。防火管理講習修了者又は防火管理者として必要な学識経験を有すると認められる者(消防法施行令)に資格は付与されます。

【参考】総務省消防庁:令和2年度版消防白書, 第1章 第1節 火災予防, 防火管理制度, p73




防火管理者の配置が必要な防火対象物

1火災発生時に自力で避難することが著しく困難な者が入所する社会福祉施設等を含む防火対象物のうち、防火対象物全体の収容人員が10人以上のもの
2劇場・飲食店・店舗・ホテル・病院など不特定多数の人が出入りする用途(特定用途)がある防火対象物を「特定用途の防火対象物」といい、そのうち、防火対象物全体の収容人員が30人以上のもの(前1を除く。)
3共同住宅・学校・工場・倉庫・事務所などの用途(非特定用途)のみがある防火対象物を「非特定用途の防火対象物」といい、そのうち、防火対象物全体の収容人員が50人以上のもの
4新築工事中の建築物で収容人員が50人以上のもののうち、総務省令で定めるもの
5建造中の旅客船で収容人員が50人以上のもののうち、総務省令で定めるもの
6同一敷地内の屋外タンク貯蔵所又は屋内貯蔵所で、その貯蔵する危険物の数量の合計が指定数量の1,000倍以上のもの
7指定可燃物を貯蔵し、又は取り扱う防火対象物で、床面積の合計が1,500m2上のもの
850台以上の車両を収容する屋内駐車場
9車両の停車場のうち、地階に乗降場を有するもの

※.上記の1~3については、次の用途・規模により、甲種防火管理者又は乙種防火管理者の資格が必要です。4~9については甲種防火管理者の資格が必要です。




防災訓練は?

 自衛消防訓練は法に基づき定期的な実施が求められますが、防災訓練は法的拘束は無いので実施しなくても法令違反ではありません。

 防災訓練では地震や暴風雨雪などによる被害を想定して訓練を実施します。

 消防法に基づく消防訓練では、防火対象物というハコ(建物)が伴いますが、防災訓練は街中でも河川敷でも実施できます。
 見方を変えれば、河川敷の火災に対する訓練は、消防法に基づく消防訓練ではなく、防災訓練として実施されます。




防災訓練で実施する事

 防災訓練では暴風雨雪のようにある程度の予想がたつ災害、急激に襲われる地震のような災害とでは、準備や初動に違いがありますので、それぞれの想定に基づいて訓練を実施します。

 暴風雨雪の防災訓練では、タイムラインに沿って戸締りや土嚢積みをしたり、施設内で資器材や人員を上階へ退避させるなどの訓練を実施します。

 地震などの突発性の災害や事故に対しては、初動が重要になります。
 ただし、初動の訓練ばかり繰り返しても対応力が身に付きませんので、発災から3日程度の業務を想定して訓練します。




避難しない訓練

 消防訓練では『避難訓練』が求められていますが、防災訓練では避難せず、籠城戦に備える訓練を実施します。

 すなわち、消防訓練と防災訓練を同時に行う事は難しい面もあります。

 平時の火事であれば、10分もすれば消防署から駆け付けてくれますので、逃げるが勝ちです。
 災害時の火事では、何時間待っても消防署から誰も来ない可能性がありますので、初期消火にとどまらない消火活動、火災が起きた建物に籠城し続ける事が必要になります。

 避難しない訓練を実施するのであれば、消防訓練とは別途実施するよう計画した方が良いと思います。




地域コミュニティでの防災訓練

 地域には学校や公園、公民館、商業施設、工場などいくつかのランドマークがあると思います。それらは、災害時には拠点として使われる可能性があると思います。拠点を中核として、災害時に行われるであろう作業を洗い出し、平時に訓練しておくことは有意義です。

 例えば安否確認について、家庭訪問するにも多少のスキルが要りますし、誰がどの家を、どういう順番で回るのかも発災後に試行錯誤するよりは、訓練を通じて課題を洗い出す方が災害時に役立ちます。

 炊出しも悪くない訓練ですが、何でも仕切る人が居て、シナリオ通りに進める訓練ばかり繰り返しても、適応力は高められません。
 食材や調味料を調達するところを訓練したり、家に持ち帰る事を前提とした献立を考える訓練をしたり、適応力向上のための訓練メニューは多様にあります。

 住宅街に近いタワーマンション、建物は免震構造で救助ヘリが屋上に着陸できる要塞のような場所ですが、停電による脆弱性なども指摘されており、地域との共存を模索し始めています。
 地域コミュニティにおける防災訓練の在り方、一人でも多くの生命を救えることを目標に、goal-oriented action(GOA)を訓練に取り入れると良いと思います。




おわりに

 今回は『訓練』について取り上げました。

 消防訓練は消防法に基づく義務、防災訓練は任意で実施されるものと考えて差し支えないと思います。

 消防訓練は消火、避難、通報の3つが義務のようになっていますが、防災訓練には対象が限られていません。際限なく範囲を広げる事もできますし、狭くすることもできます。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。