目次
発災後も休めない
├ 行政
├ 消防・警察
├ エネルギーインフラ
├ 情報通信・報道
├ 医療・福祉
発災後に営業継続を努力
├ 交通機関
├ 金融機関
├ 小売業
発災後に操業停止を含められる
├ 製造業
├ 小売業
├ 教育


BCP
BCPとは事業継続計画(business continuity plan)の略語であり、通称です。
文字通り『事業』を『継続』するための『計画』ですが、計画の立て方には何通りかあります。
非常事態に直面したら一旦休む場合と、非常事態でも業務を続ける場合に大別できます。
発災後も休めない
行政
行政では、市役所等の業務を継続するための内部的なBCPと、市民と共有する『地域防災計画』の2種類があります。
地域防災計画はウェブサイトに公開している自治体がほとんどですので、簡単に閲覧できます。

消防・警察
被災地域の消防や警察は発災直後から多忙になりますが、全国の消防・警察は被災地に向けて救援隊の派遣を検討します。
1人でも多くの生命を救うための事業継続、社会を不安にしないための事業継続、国民の負託に応えるBCPが策定されています。

エネルギーインフラ
電気・ガス・水道などのエネルギーインフラ事業者は発災直後から復旧作業に取り掛かります。
電気とガスは民間事業、水道は公共事業である事が多く、資金や人員の配置に違いはあるものの、概ね同じ方向性のBCPを策定します。
民業の場合、廃業に追い込まれないようにするための方策もBCPに盛り込まれます。

情報通信・報道
NTT等の通信事業者、サーバやプロバイダなどの情報通信事業者などは発災後も切断しないように努める事と、1分でも早い復旧を目指すBCPを策定します。
テレビや新聞等の報道事業者は正確な情報を伝えるという本業の事業継続のために、被災地の最前線への取材班配置などと並行して、全国の連携先の協力も得て報道を継続します。
コミュニティラジオのような小さな放送局も災害時には重要な情報源であるため、発災後も業務を継続できるようBCPを策定します。

医療・福祉
医療のBCPは独特です。
操業停止を選択できない医療機関や高齢者施設が多いため、どのくらい細々とサービスを継続するのか、何を続けるべきであるのかを計画します。
ときには、トリアージと呼ばれる診療の優先順位を決めるような重い判断も迫られるため、BCP策定にも重みがあります。
患者らを救う事が目的の1つではありますが、廃業とならないような方策を練る事もBCPの目的の1つになります。

発災後に営業継続を努力
交通機関
ひと昔前は運休しない事が目的化していましたが、近年は発災前の計画運休も定着し、影響を最小化するための計画が練られています。
停電中は信号も点灯しないため車両を用いた交通は原則的に運休します。
線路のゆがみなどが無い事を確認できなければ脱線の恐れがあるため、大地震の後に鉄道は点検期間が設けられます。
東日本大震災では東北新幹線が1カ月以上運休、仙台空港は津波で大きなダメージを受けたが、山形空港を拠点に東京や大阪などの臨時便を飛ばして被災地とのロジを途切れさせなかった。
公共交通機関には早期復旧と代替手段の2種類のBCP策定が求められます。

金融機関
金融機関は災害時でも営業する事が常識でした。銀行法の関係で営業する事は義務のようなものでした。
近年は行員や利用客の安全を鑑みて臨時休業にする銀行が増えています。
とはいえ、クレジットカードやキャッシュレス決済が停電や通信断絶により使えないとき、頼りになるのは現金です。
金融機関は利用者の不利益を最小化しつつ、自身も守れる計画を策定します。

小売業(食料品・生活必需品等)
阪神淡路大震災の直後にスーパーマーケット『ダイエー』が営業し、平時の価格で商品を提供した事は今でも災害時の神対応として取り上げられる話題です。
近年の災害でも、地域密着のスーパーマーケットがカップ麺や水を平時の価格で販売するなど、食料品を中心に被災地の生活を支えるインフラとして機能しています。
停電でレジが動かないときにそうするか、納入業者に連絡がつかない中でどう仕入れるか、発災後に考えても容易に対応できる話題ではないため、BCPの必要性が高まります。

発災後に操業停止を含められる
製造業
BCPはBはbusiness、事業継続計画ですので企業では廃業にならないための方策としてBCPを位置付ける事が多いです。
工場でも商業施設でも発災当初は安全確保、装置の停止や避難を優先します。
BCPはその判断に資する内容も盛り込まれる事があります。

小売業(緊急性の低い商品)
大震災等では操業停止を選択する事ができます。無理に営業して被害を拡大するよりも、在庫を廃棄することになっても一旦は停止して復旧の礎を築く方が良い場合もあります。
断水中のショッピングモールに100人出勤すれば、トイレは数百回使われ、余震があれば100人の安否確認も必要になります。こうした二次災害的な事も含め、どのような対応が最適であるかを計画します。

教育
災害の混乱中にすべき教育とは何かを平時に検討し、BCPを策定します。
教育にも学校や幼稚園、学習塾、英会話教室、カルチャースクールなど多種多様です。
小中学校は徒歩圏にある事が多いですが、電車通学が必要な高校生くらいになると、そもそも登校する事の困難性が想定できます。また、教員の出勤にも配慮が必要です。

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