BCM:備えとマネジメント | 災害の芽を摘む – saigai.me




目次

マネジメント
 ├ マネジャーが必要
 ├ トレーニングが必要

企業における災害マネジメント

行政における災害マネジメント

地域における災害マネジメント
 ├ 年功序列ではない
 ├ 平等な役割分担
 ├ 地域に足りないリソース

医療における災害マネジメント
 ├ 患者殺到と急性外傷
 ├ 医療救援隊
 ├ 災害シフト・復旧シフト・平常シフト

福祉・介護事業における災害マネジメント
 ├ 居合わせた通所者
 ├ まずは入所者のマネジメント
 ├ スタッフのケア

家庭における災害マネジメント
 ├ 安否確認と集合
 ├ 備え
 ├ 近所・地域




マネジメント

 非常事態にさらされてもなお、生き残るためには事前の準備とマネジメントが不可欠です。

 『マネジメントとは』について深くは述べませんが、マネジメントができていないチームは力を発揮できずに時が過ぎてしまう可能性があります。

 非常事態は平時には想像できない事が起こるやもしれず、時間の経過が結果の良し悪しに影響してしまう事も考えられます。


マネジャーが必要

 マネジメントにはマネジャーが必要です。

 災害マネジメントは、平時の職長が適任という訳ではなく適材適所、非常時に強いマネジャーを据える必要があります。

 職場であれば災害対策本部長は監督者であって、マネジャーである必要はなく、マルチタスクで事を進められる人材をマネジャーとして本部長の直下に置く事もできます。

 自主防災組織や避難所運営でも同様であり、自治会長やPTA会長がマネジャーの適任者とは言い難い場合もあり、災害対応に明るい人、例えば企業の総務経験や自衛隊員など、住民の中にスキルを持った人が居ればアサインします。


トレーニングが必要

 マネジメントには多少のトレーニングも含まれます。

 マネジメント自体をトレーニングするのではなく、非常時に行われる業務をトレーニングし、そこに発生するロジスティクスやマネジメントを疑似体験しておき、誰がどのような意図で、どのような状況下で動いているのかを関係者に知ってもらいます。




企業における災害マネジメント

 災害による損害は少なく、廃業の危機を避けることが大きな目標になると考えられます。

 従業員や社屋のダメージを少なくするための対策、休業期間を最短化するための対策、納入先や仕入先を途絶えさせないための対策などが講じられます。

 復旧に向けたマネジメントが重要であり、費用対効果を評価した上で備蓄や補強をしないという選択肢も取られます。




行政における災害マネジメント

 市役所等の内部のマネジメントについては、役所ごとの内情や内規もありますのでそれぞれに実施されます。

 災害時対応、特に外部と面する部署等のマネジメントは、些細な事から住民の不満が募ったり、ときには人命に関わる事すらあります。

 市内に数十カ所の避難所が開設されたとき、それぞれ平均年齢や職業、傷病者数などに違いが生まれます。若者が多いエリアと高齢者が多いエリア、自営業者が多いエリアと移住者が多いエリア、それぞれ事情が異なります。

 台風などの場合、高い確率で洪水になるエリアでは危機意識が高く、他の地域と要望も異なります。




地域における災害マネジメント

 自主防災組織や町内会がマネジメントする場合と、特に組織として動く事が無い場合があります。

 東日本大震災のとき、ある避難所ではPTA会長が指揮官となり、またある避難所では診療所の院長が指揮官となりました。即席対応チームでも、指揮官がしっかりしていれば運営はそれなりに上手く行きます。


年功序列ではない

 年配の方を敬うのは必要ですが、年配者が上の立場にあるという訳ではありません。

 それぞれが市民権を持ち、平等に納税し、世帯を持って自立した生活をしています。そこに上下関係はありません。

 地域における災害マネジメントが破綻する理由に、年功序列や地元生活歴の長さなどを指標にしてしまう点が挙げられます。

 分譲地などに移住してきた人を除け者にしたり、低く格付けして雑用ばかり押し付けたりすると、運営が破綻してしまいます。


平等な役割分担

 日本の多くの地域が高齢化率21%超の『超高齢社会』です。働き盛りの世代も学生も少なくなっています。

 昔は大家族が住み、親世代から付き合いが続く地元民で構成されていた地域も、今では核家族化が進み、移住してきた一世代目の若者が少なくありません。

 長く住み続けている人には地の利があり、若い世代には体力や情報収集力など強みがあり、子育て世代にはママ友ネットワークやSNSなどのコミュニティがあり、どれも独特なポテンシャルを持っています。

 これらを選ぶのではなく、それぞれの長所を発揮してもらい、シナジーが得れれば、地域の災害マネジメントは良い方向へと進むことが期待できます。


地域に足りないリソース

 自主防災組織が広がったのは阪神淡路大震災の後、20世紀の話です。

 当時と今では高齢化率は倍ほどの差、情報化は進んで携帯端末は1人1台の時代、高度経済成長前後の建物は解体され耐震性の高い住宅が増えました。時代は変わりました。

 地域に足りないリソースを洗い出すこと、それを埋めることが地域の災害マネジメントに求められる仕事です。




医療における災害マネジメント

患者殺到と急性外傷

 院外の患者を診るのか否かは大きな決断となり、仮に診ないと決断しても押し掛けられたときにどう対処するのか、検討しなければなりません。

 院内で発症した外傷患者を院内で診れないとき、どう対応するかも重要です。それが患者なのかスタッフなのか、早急に治療しなければ致命的なのか我慢すれば生死には関わらないのか、そのあたりも重要な判断材料になります。


医療救援隊

 発災後、救援が来るまで数日かかります。救援隊が来れば、その人たちをどう采配するかが問われます。
 目立つ急性期病院であれば翌日には来ますが、200床未満規模の専門病院や療養病院の場合、救援が来るかどうかもわかりません。
 救援の有無に両対応できるマネジメントが必要です。


災害シフト・復旧シフト・平常シフト

 医療は発災前から行っていた入院診療などは止められず、発災後も延々と続きます。スタッフはいつ休めるのか、いつまでが災害対応で、いつからが平常シフトなのかの線引きもしなくてはなりません。

 過去の大震災では、常勤職員たちは三日三晩の不眠不休、その後1週間も帰宅せず働いた挙句、代休無し、残業手当も貰えず、自宅の復旧などに大きな出費まであり散々だった、という話をよく聞きます。

 医療機関の経営もダメージを受けますので手当を出す事は容易ではないかもしれませんが、ここでのマネジメントは後々の経営にも強く影響を及ぼしますので、臨時手当をプールしておくなどの措置は必要です。







福祉・介護事業における災害マネジメント

 すぐに生死の境を彷徨うような利用者・入所者は居ないと思いますが、何のケアもしないでいると危険になる人は少なからずいると思います。


居合わせた通所者

 デイケアなど通所の利用者については、帰宅させる手段が無ければ施設内で対応しなければなりません。

 高齢者福祉施設のベッドは入所者のためのものであり、通所者のためにベッドは用意していません。しかし、床で寝ても大丈夫という若者と違い、褥瘡リスクも高く、体温調節にも心配があります。

 安全に守ることができなければ、施設から出て行ってもらうのも選択肢ですが、安全な場所まで送り届ける手段を確立する必要があります。

 通所者だからBCPの対象外という事は無く、マネジメントしてあげなければ生命危機も迫る可能性があります。


まずは入所者のマネジメント

 居合わせた通所者や家族のケアの前に、契約の下に入所している弱者たる方々の安全を確保する事が、サービス提供者の務めです。

 潤沢な資金がある訳ではない高齢者福祉の領域で、費用でカバーできない部分は創意工夫も加える必要があります。ときにはスタッフに頑張ってもらう事も考えなければなりません。

 食事やトイレなどのロジスティクスも抑えなければ、簡単に衛生状態を悪化させることになります。

 マネジメントが利いていない施設運営では、災害を安全に乗り切る事は困難かもしれません。


スタッフのケア

 災害に居合わせたスタッフはいつまで働くのか。何を食べ、いつ着替え、いつ寝るのか。

 不眠不休で過労ラインを大きく超えた状態で、何十人もの高齢者のケアを居合わせた数人で対処していく必要があるかもしれません。

 『立ち去り型サボタージュ』は、目の前の大混乱を免れたいがために、その場からスタッフが立ち去ってしまうことです。

 そうならないためのマネジメントが求められます。




家庭における災害マネジメント

 多くの市民は発災後、家に戻るか家族と合流します。
 医療従事者など災害にも業務を止められない職種の方々も、最後には家庭に戻ります。

 家庭における災害マネジメントで重要なのは安否確認の方法の確立と、被災生活を心身共に乗り切れる備えです。


安否確認と集合

 スマホが1人1台の時代になったので固定電話は持たない家庭が多くなりました。SNSが発達し音声通話を契約しない人も増えました。LINEなどでも連絡は取りあえますが、万が一にもスマホが壊れた時のこと等を考えた安否確認のルールを作っておくと良いです。
 その際、集合場所も1~2つ決めておくと良いです。


備え

 近年は自宅避難が増え、COVID-19流行以降はますますその傾向にあります。

 食事、トイレ、寝床、どれも家族のための備えが必要です。トイレは近隣の公園や学校を利用する予定でも良いですが、地域の住民が集中しますので、2時間待ちは覚悟した方が良いかもしれません。

 水や電気の備え、ここに余力があるか否かが家族の避難生活の質を左右します。


近所・地域

 隣近所や地域とどのような距離感を持って過ごすかもマネジメントが重要です。

 アリとキリギリスの話のような事もあります。自費で数十万円かけて準備した水・食糧・電気を『分けて欲しい』と訪ねて来る人が居ないとも限りません。

 避難所に行けば弁当が貰えて、自宅避難者には弁当は支給されないという、税の公平性からは考えづらい事が起こるかもしれませんが、そのような時に『温かい弁当が食べたい』と考えてしまうと精神衛生上、良くないかもしれません。避難所との距離感もマネジメントの対象です。




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